(2024年5月)
集合住宅でのインターネット回線
集合住宅で各戸に引かれているのが電話線や同軸(アンテナ)線しかない場合、以下の方法でインターネット回線を引くことになる。
・電話線:VDSL(Very high-speed Digital Subscriber Line)
・同軸線:HFC(Hybrid Fiber-Coaxial) ← ケーブルTV会社のインターネット等
同軸線を使ったものはFTTN(Fiber To The Node)ともいわれる。
これらは、建物の主配線盤までは高速で来ていても、電話線や同軸線がボトルネックとなり、速度が落ちてしまう。
特にVDSLの場合、電話線はシールドされていないため、最大100Mbps(=12.5MB/s)であることも多い。
↑黒い線が電話線(モジュラーケーブル)
関連:VDSL方式 (NTT東日本)
電話線であっても、2014年12月5日に制定されたG.fast(ITU-T G.9701)規格であれば、最大1Gbpsとなるが、通信会社にヤル氣がないため、ほとんど普及していない。
電話線はノイズに弱い
VDSLモデムには、モジュラー端子(RJ11)とLAN端子(RJ45)があり、壁から出ている電話線をモジュラー端子に接続し、LAN端子とルーターをLANケーブルで接続する。
電話線とLANケーブルの2本のケーブルを使うのだが、LANケーブルに比べ、電話線はノイズに極端に弱いので注意が必要である。
電話線は本来、固定電話やFAX用途で使われたものであり、高速通信で使おうとすると、ノイズの影響が無視できなくなる。
よって、電話線は極力短くする必要があるが、壁の中にあるものはどうしようもないので、壁から部屋に出る部分を、極力短くすることが重要。
しかし、壁から出る電話線は床に近く、物陰になっていたり、ホコリがたまるなどの理由で、VDSLモデムを壁から離れた場所に置きたいこともあるだろう。
また、壁から出る電話線付近には、他機の電源ケーブルやACアダプターが存在しがちであり、それらはノイズの発生源となる。
その場合は、普通の電話線ではなく、シールド対策された電話線を使うことで、ノイズの混入を避けることができる。
具体的な対策には、
・アルミ網によるシールド
・ツイスト(撚り)
・フェライトコア
が挙げられる。
アルミ網によるシールドは、施されていることが見た目で分かるように、被覆が透明であることが多い。
ELPA(朝日電器)
1インチのハイピッチツイストと新開発のスパイラルシールドにより、より確かなノイズシールド効果を実現。
フェライトコア付き(両端)
・1m未満は存在しない。
・2mがないのは残念。
サンワサプライ
高密度フェライトコア+横巻シールド+ハイピッチツイストペアケーブルでノイズをカット。
フェライトコア付き(片端のみ)
NTT端子結線準拠:両端のプラグは、下図のように一方が逆さまに取り付けられている。
・ELPAに比べ、長さが豊富で、1m未満もある。
・2mがないのは残念。
電話線をLANケーブルで代用
RJ-11をRJ-45に変換する部品(LD-RJ4511THEN)を使い、ノイズに弱い電話線を、ノイズに強いLANケーブルで代用するという手もあるが、両端に接点が増えてしまう。
関連:モジュラーケーブル(電話線)のノイズ対策とLANケーブルでの代用
関連:[ELECOM] LD-RJ4511THEN(RJ45-RJ11変換コネクタ)のレビュー [エレコム]
余っているLANケーブルがあるなら、この方法でも良いだろうが、そうでないなら、シールド対策された電話線を購入した方がカンタンである。
関連:[050] ADSLのノイズ対策と速度向上改善を図る方法(モジュラーケーブル,フェライトコア,スプリッタ,モデム,ルーター,無線,Wi-Fi)
関連:SAMZHEのカテゴリー7ケーブル(Cat7)の入手とレビュー
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